「gene」― 遺伝子というワードをブランドネームに持つのには
理由がある。
「遺伝子」とは生物の持つ塩基物の複雑な配列による情報伝達デ
ータであり、受け継がれる核となるものである。
ここに一つの洋服があり、それを構成するのは糸・素材、そして
デザイナーの感性でありインスピレーションである。洋服は洋服
であるけれども、それはすでに単なる有機物ではなく、様々な遺
伝子から情報伝達を受け、完成する作品である。
"gene par YUKIO MISHIBA"とは"gene by YUKIO MISHIBA"。
素材がデザイナーの手によって新たな情報を得て、以前とは違う
風合いやニュアンスを視覚化していく。その工程に再現や規制は
ない。あるときは草木であり泥でありラバーであり墨であり、粗
野であり優雅であり、無骨であり繊細であり、音や光、性別を超
えた太極であり、思考は伝達され形となり、それはすべての可能
性を秘める。そして可能性は選び手、着る人の新たな遺伝子情報
を得て広がっていく。そこには国境も人種も年齢もない。自由な
感性と創造性は、手にした瞬間から委ねられ、また新しい「gen
e」が発信される。